刃こぼれ

包丁の刃こぼれは、薄い刃先端に粘度、硬度による総合力を上回る力が外部から加わる事によって生じます。
当社では、出荷時の包丁の品質のバラツキ、キズなどの検査には特に注意しています。
ここで、キズ検査法として代表的な蛍光磁気探傷検査法について簡単に説明します。
まず洗浄した包丁に、コイルを使用した機械で磁気を帯びさせます。次に磁性蛍光体の入った浸透液の中に包丁を浸します。
そうしますと包丁にキズ、クラック(割れ)などがあれば、そこに浸透液が浸透します。そして包丁を取り出し、紫外線を照射します。キズ、クラックがあれば、浸透した液の中の蛍光体が発光して肉眼でも見える様になります。 この後、脱磁機を使用し、包丁に残った磁気を消し、洗浄します。
この検査では約1,000分の2ミリメートル(2ミクロン)位のキズ、クラックが判別出来ると言われています。

刃こぼれの原因の中で、購入時のキズが原因になるケースは非常に少なく、次に述べるような使用上の不注意が原因となる場合が多いようです。
刃先に横から力が加わった時に、刃こぼれが生じ易く、特に刃先端の薄い包丁( 牛刀、三徳、ペティーナイフなど )で固い物を叩いたり、切る途中で包丁をねじったりした時に刃こぼれが発生するケースが多いようです。

固い骨や蟹の足などを切る時は、主に出刃や骨スキ包丁を使います。
叩き切りを避け、手首の力を利用して押し切りするか、包丁がまな板と垂直になる様に刃先を食い込ませておき、包丁の峰(ミネ)を真上から叩く切り方をお薦めします。


包丁を使用していると、知らず知らずの内に包丁の刃先に小さな刃こぼれが出来てしまいます。
もし刃こぼれを見つけたら、直ぐに刃を研ぎ直し、刃こぼれの部分を取り去って下さい。(除去の確認には、包丁を研がれた後に紙をゆっくり切る方法が有効です。どの個所も抵抗無く切れれば大丈夫です。)
どんな小さな刃こぼれでも、そのままにして置きますと、更に大きなひび割れの原因になります。小さな刃こぼれの状態ならば、刃の研ぎ直しも、さほど時間を要しませんが、大きな欠けや割れなどが出来てしまうと、研ぎ直すのに何十倍もの時間を要します。
また、刃先から奥に深い割れが出来ると、一般の砥石では研ぎ直しが困難な場合や、研ぎ直し自体が不可能な状態(どこまで研いでも割れの部分を除去出来ない状態)になる事もあります。

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